2016年2月2日(火)
ニュース関連の電話取材は、時間がなくて対応困難なので、メール連絡の上、下記の内容をプレスの責任で使ってください。
わたしは「日本プロ野球選手会 公認代理人」であり、比較的に薬物犯罪をふくむ刑事弁護事件を多く扱っています。
【逮捕まで】
覚せい剤所持の現行犯で自宅で逮捕されるというのは、捜査機関が裁判官による捜索差押許可状の発付を受けて自宅の捜索を執行中に覚せい剤が発見されたということです。
逮捕された本人は、捜索時に自宅にいて、捜索差押の執行に立ち会っていたわけです。
覚せい剤所持罪で逮捕又は勾留されたとしても、逮捕直後に採尿しているので、尿から陽性反応が出れば、被疑事実は覚せい剤所持(単純所持)罪から覚せい剤自己使用罪に変わります。
自己使用を自供していても尿から陽性反応が出ないときは、単純所持罪で起訴・審理されます。
【起訴されるまでの勾留】
逮捕後、10日又は20日間の勾留はまず認められます。
被疑者の身柄を確保しての勾留期間は、起訴するかどうかを判断する期間です。
勾留は10日、勾留延長されれば20日間です。
1回目の10日間の勾留満期までに起訴されることもままあります(覚せい剤でもそれ以外でも)。
一般的に、起訴される前の捜査弁護段階において、弁護人は、不起訴をめざして弁護活動を行います。初犯や軽微な犯罪、被害者と示談が成立した事件では、不起訴となることが多いです。
ですが、薬物犯罪では被害者がおらず初犯でも起訴されます。
清朝がアヘンで衰退していったのを思い出して下さい。
現代のわが国においても、それだけ薬物犯罪は厳重に取り締まられているということです。
【起訴後の勾留】
起訴されると、被疑者は被告人と呼ばれます。
被告人は、刑事裁判にかけられることになります。
起訴後は、覚せい剤事犯でも比較的容易に「保釈」が認められます。
保釈されると、逮捕直後の過熱した報道が本人の目にふれることになります。
保釈に必要な保証金は、年収100~200万円の被疑者でも150~200万円必要です。
これは、保釈されても裁判所でひらかれる公判への出頭を確保するためです。
公判を正当な理由なく欠席すると、保証金は没収されます。しかし、出頭していれば、有罪判決でも保証金は全額返還されます。
資産のある著名人のばあい、保証金はもっと大きくなります。
【公判での弁護活動】
裁判では、たとえ有罪になっても執行猶予がつくように弁護活動を行ないます。
これを「情状弁護」と言います。
情状弁護で執行猶予を勝ち取るためには、深く反省していることと二度と犯罪をしないことを示すことが大切です。また、家族や働く先など支援する環境も必要です。
薬物犯罪では、薬物依存から回復する施設であるDARC(ダルク)への参加を被疑者・被告人にすすめることもあります。
わたしの経験では、単純所持や自己使用の初犯では、執行猶予がとれるように弁護活動を展開し、刑務所でじっさいに服役する実刑になったことはありません。
【その他】
薬物依存は、病気であり、処罰より治療が必要という考え方があります。
薬物依存になると、自分の意思で止めようと思ってもなかなか止められません。
窃盗をくりかえすクレプトマニアなどでも同様に「処罰より治療を」という考え方があり、裁判所でも弁護人から主張されることがままあります。
また、報道の過熱を抑制し、社会復帰を容易にすることも弁護人の役割です。
報道問題にも経験・能力のある有能な刑事弁護人を選任することも考えてみて下さい。