平成28年9月17日(土)
法制化記念 市民シンポジウム「取調べの可視化がはじまる ~村木厚子さんと考えるこれからの刑事司法~」が大阪弁護士会館で開かれました。
郵便不正事件で無罪になった前厚生労働事務次官の村木厚子さん、東住吉えん罪事件で再審無罪になった青木惠子さん、『それでもボクはやってない』の映画監督の周防正行さん、ジャーナリストの江川紹子さんや弁護士が、報告・講演・公開討論をおこないました。
可視化されると、取調べは録音録画されます。
それによって、取調室の密室の中で捜査官が暴行・脅迫・偽計・利益誘導など違法な取調べをおこなうことができません。
黙秘権の告知がきちんとなされ、調書の訂正を求めること、調書に署名指印をしないことなどの被疑者の権利も守られやすくなります。
法律上、可視化の対象は、裁判員裁判対象事件などに限られます。
今後、適用対象事件を広げていくこと、運用上より広い範囲で可視化を求めていくことが課題です。
検察官は、自白調書の取調請求をするとき、録音録画の記録媒体もいっしょに取調請求しなければなりません。
記録媒体を取調請求しなければ、自白調書の取調請求が却下されます。
法廷で録音録画が再生されるので、裁判官は自白調書をうのみにしづらくなります。
弁護士は、可視化に対応した接見時のアドバイスや法廷での活動をすることになります。
対象事件以外でも、捜査段階での取調べで可視化をもとめることが増えると思われます。